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フリッツX
無線誘導空対艦誘導爆弾フリッツX(FritzX)は大戦前の1938年、ベルリンのアドラースホフにあり、戦時には2000人の要員を擁したドイツ最大の航空研究所DVLのマックス・クラマー博士が箱型尾翼の研究をSC−250爆弾で行っていたものを原型とする、推進装置を持たない(※1)滑空爆弾であり、X1、SD1400X、FX1400X、PC1400Xなどとも呼称された。
フリッツXは、ドイツ空軍が本機を「遠隔操縦飛行爆弾」として関心を示したことが始まりで、同種の兵器のなかではもっとも成功したものとなった。
ドイツでは先に空対艦ミサイルHs293シリーズを開発、配備し成果をあげたが、厚い装甲を持つ艦艇に対しては少し物足りなかった。
これを打破すべく、弾体そのものにPC1400徹甲弾を使用しようとし、これに効果的だとわかったクラマー博士の箱型尾翼をもってPC1400徹甲弾用の滑空誘導爆弾に発展したのがフリッツXである。
無線操縦用送信機はテレフンケン社、無線受信機はシュトラフスト・ルントフンク製作所でそれぞれ開発、ラインメタルボルジク社で完成された。
試験飛行はベルリン南方60kmのヨーテボーグで行われ、He111爆撃機を母機として使用、そして1941年にはペーネミュンデ実験場で風洞試験も行われた。
同年秋までに技術的問題の多くは解決、ドイツ本土の天候の都合からイタリアのシポントが実験場に選ばれ、試験飛行は順調で性能も予測通りのものだったが、形状はまだ洗練されたものではなかった。
操縦装置は母機から誘導員がジョイスティックにより操作・誘導するシンプルな方式でありながら高度な性能を発揮し、理論上は高度6000mからの投下で誤差60pと非常な高精度であったが、実際は誘導員の技量に左右される度合いが強かった。
本体には四枚の安定翼、尾翼ユニットが取り付けられ、この尾翼ユニットには無線機器と誘導ジャイロスコープが、安定翼には無線操縦用ソレノイド作動スポイラーが装備されて射程や包囲角に対応する。。
目標上空5000m〜8000mで投下され、母機の誘導席から可視で尾部からでる炎、夜間は飛翔体に点灯される光を追跡しながら、無線誘導を行う。
総重量1565sのフリッツXは先端が1400sのPC1400徹甲弾であり、ラインメタル社製Bz38B信管がセットされていた。
その中にはアマトールとTNTを5:5か4:6で混合した炸薬が320s充填されていた。
開発が順調に進んだのは前述の通り、クラマー博士の基礎研究が進んでいたためであり、1943年には生産が軌道に乗ることとなる。
製造数は1386基(約2000基ともされる)で約100基(約200基ともされる)ほどが配備された。
また、1942年半ば頃に、クラマーと研究者達は、妨害電波及び混信対策として有線ワイヤー方式を検討したが、ワイヤー繰り出し速度がフリッツXの飛行速度に追従できなかった(※2)という。
だがこの問題は後に原因が解明されることとなる。
1943年9月9日、フリッツXは大戦果(※4)を収めるところとなる。
イタリアの降伏によってマルタ島へ向かうイタリア戦艦ローマ、そして戦艦イタリア(旧リットリオ)がコルシカ島沖でドイツ第100爆撃航空団第3飛行隊所属のDo219(※3)の攻撃を受け、3機のDo17から発射されたフリッツXは誘導員のジョイスティック操作によりローマの前部弾薬庫、機関室、左甲板に命中、ローマを撃沈、イタリアをも大破させた。
なお、フリッツXには様々な発展型が存在している。(※5)
※1
推進装置の無い誘導爆弾であるという説が定説のように流布しているが(実際そのように表記されているほうが一般的)、加速用のヴァルターロケットを装備していたという説もある。
その説を採れば、フリッツXは時速1200qを超える速度で飛翔し、(※2)の話の説明ともなる。
しかしながらそのような飛翔速度であれば「誘導員がジョイスティックで操作」するには困難と思われ、一体どうだったのかはっきりしたことはわからない。
※3
Do17など諸説ある。部隊、機数に関しても同様で、使用されたのがフリッツXでなくHe293だという説もあるくらいである。
しかし、威力不足を懸念されてフリッツXの開発に繋がったHe293が戦艦を撃沈したというのはにわかには信じ難く、ここではより一般的でもあるフリッツXによるローマ撃沈説を採る。
※4
ローマとイタリアへの戦果以外にも、米巡洋艦サバンナ、数隻の駆逐艦、英戦艦ウォースパイトへの命中弾、ポンタバルト橋梁攻撃による米第六戦車師団の足止め等。
※5
操縦装置改良型のX2、着弾誤差率を少し犠牲にして量産性を高めたX3、別項で採りあげる空対空ミサイルX4ルールシュタール、重徹甲弾版のX5(2500s飛行爆弾か?)、X5の高性能炸薬型であるX6。
フリッツX・性能諸元
全長:3.262m
直径:56.2p
発射重量:1565s
炸薬量:320kg
射程:15q
誘導方式:無線誘導
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